1 三十三観音 1幅 

表紙

 綴織は、西アジアにおいてはじまり、前1500年頃のエジプト王墓、また前5~前4世紀のペルシア、アケメネス朝様式のものがアルタイから発見されています。その後東西に拡がり、コプトの綴織、西洋中世のタピスリーをはじめゴブラン織の大画面、さらに今日に至るまで画家の下絵による作品が数多く作られました。中国では唐代(8世紀)からはじまり、宋代(11世紀)以後、こく糸の名で呼ばれ、明清時代に至るまで盛行しました。日本では、『当麻曼荼羅』、正倉院の袈裟、帯類にみられるほか、桃山時代の南蛮貿易によって舶来したと考えられる京都祇園会山鉾の前懸や京都高台寺に伝わる陣羽織が知られています。

 本品は白絹布に金糸と、紺、青、茶など全部で6色の絹糸を使って、三十三体の観音菩薩像を綴っています。像容は、蓮華座の上に円光背の三体を除き、各段五体づつ描かれ、各段ごとに糸のとり合わせを変え、さらに各列ごとに印相を変え、糸の配色については7種。印相については三種類をつくり、変化を与えています。

 三十三観音の信仰は、法華経の観世音菩薩普門品にいう、観音が衆生済度のために三十三身に応化すると説く経文に基づいています。

綴織 236×86.5
明時代
鴨川市・心巌寺
左上写真部分