薬の情報 

表紙

 イボタはイボタロウムシからつくる止血・疣取りの薬とされる民間薬。阿片は下痢止めや痛み・けいれんを抑える鎮痛剤として使われ、明治政府は専売として扱った。

 薬の情報は、村にいる里見氏旧臣などの旧家や名主といった村の指導層が、村人への給恩として提供する側面もあったようである。「妙薬聞書」には、マムシに咬まれた傷や長血・疝気・癪と水あたり・小便詰まりなどを治すにはどういう薬をつくったらよいかがかかれている。館山仲町(館山市)の名主が所持していた。「妙薬覚」も、寛政年間に和歌山の武士が館山に来たときに聞き取りしたもので、作名村の名主の情報。「秘伝指之薬」も那古村(館山市)の名主がどこかで手に入れた秘伝なのである。古茂口村(館山市)名主家の蔵書には、中條流産科の産前産後の諸症療法を書き写したものがある。医師として医療を学んだ人がいなくとも、本や人伝てで医療情報は村の中に入ってきていたのである。

29.イボタ  
当館蔵
30.阿片卸売所看板  
石井祐輔氏蔵
35.秘伝指之薬  
外山正博氏蔵
36.「妙薬聞書」(弘化5年)  
岩崎文江氏蔵 
  
39.「妙薬覚」  
当館蔵