【1】長編稗史{はいし}小説『南総里見八犬伝』 1.八犬伝版本 

表紙

 『南総里見八犬伝』は、江戸時代の戯作{げさく}者・曲亭馬琴{きょくていばきん}が28年もの歳月をかけて著したもので、全9輯98巻・106冊という長大な物語です。そのころの本は、木の板に文字や絵を彫って摺ったもので、版(板)本といいます。

 『八犬伝』は民間の歴史を扱った稗史小説の代表的作品です。戦国時代、千葉県南部を活躍の本拠地とした房総里見氏十代の歴史を題材に、馬琴が創作した長編伝奇小説で、ある程度は史実に即しながらも、正史の上では恵まれずに終わった善良な人物を取り上げて活躍させています。

 馬琴は読んでおもしろく、しかも為になるお話を書こうと考えて、『八犬伝』では命題を「勧善懲悪{かんぜんちょうあく}」、「因果応報{いんがおうほう}」、つまり「良いことをして、悪いことは止めよう」をテーマにしています。

 『八犬伝』の最初には、「八犬士伝序」という序文があり、『八犬伝』執筆の動機や、方法が述べられています。

 また、最終回の後には、「回外剰筆{かいがいじょうひつ}」という後書きがあり、『八犬伝』執筆の楽屋裏話が語られています。

『南総里見八犬伝』
版本106冊
冒頭部分 『南総里見八犬伝』肇輯巻之一 第一回

大尾 『南総里見八犬伝』
第九輯巻之五十三下

 
『南総里見八犬伝』
第二輯巻之二挿絵