6.行徳古那屋/絶体絶命 

表紙

 信乃と現八は激しい戦いの末、組みあったまま芳流閣の屋根の上から、下を流れている川に浮かぶ小舟の中へ転げ落ちました。

 仮死状態の二人を乗せた舟は下総国、行徳の葦の生い茂る入り江に流れ着き、土地で旅籠を営んでいる古那屋{こなや}文五兵衛に助けられます。

 文五兵衛は現八のことをよく知っていて、信乃が大塚村で世話になった糠助{ぬかすけ}の実子であることを聞きます。語りあううちに文五兵衛の倅小文吾と現八、そして信乃が八犬士の同士であることが判明します。

 こうして古那屋に匿われた信乃ですが、受けた傷がもとで破傷風にかかり、身動きできない重体となります。小文吾が喧嘩の仲裁のため留守をしている間に、文五兵衛は滸我の探索の手に捕縛されてしまいます。

 小文吾の妹沼藺{ぬい}が嫁いだ山林房八{ふさはち}は、小文吾に相撲で負けてから気まずくなっていました。その夜、沼藺は離縁されて古那屋に帰されてきますが、離縁状は信乃の人相書きでした。

 驚いている小文吾の元へ房八が暴れ込み、信乃を出せと切り合いのうちに沼藺は殺されます。やむなく小文吾は房八を斬るのですが、これは信乃を助けるために信乃と顔のにた房八が身を捨てた芝居であったのです。

里見八犬伝 行徳の入り江
歌川豊国画

波乗舟音宝曽我 行徳古那屋の場
豊原国周画