9.庚申山の化け猫 

表紙

 下野国足尾の庚申山の難所にさしかかった現八は、襲ってきた妖怪の目を狙って矢を射かけました。この妖怪はかつて赤岩一角という郷士を殺し、そのまま一角に化けている山猫で、あの船虫を後妻としていたのです。

 亡き一角の実子角太郎を、化け猫は憎みいじめぬきますが、角太郎は親と信じて孝養を尽くします。雛衣{ひなぎぬ}と結婚し犬村家の婿となった角太郎夫妻に、偽一角は目の治療のため雛衣の胎児を寄こせと無理な要求をします。困り果てた角太郎を見て、哀れ雛衣は自害して果てるのです。このとき雛衣のお腹から霊玉が飛び出して化け猫を退治し、角太郎は犬村大角として八犬士の仲間に加わります。

江戸乃花名勝会氷川下 猫又橋犬村大角
卍楼北対画
庚申山
歌川芳虎画